今月の主題 膠原病—最近の考え方
膠原病—今日の概念
病理学的な立場から
京極 方久
1
Masahisa KYOGOKU
1
1東北大学医学部・第1病理
pp.932-934
発行日 1981年6月10日
Published Date 1981/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217192
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
膠原病とは―その本態観
膠原病(collagen disease)という名前はKlempererにより提言されたものであるが,その後,免疫学,病理学,病態生化学の進歩に伴って,これらの疾病がcollagen fiberの病気などというのはおかしいとしてあまり用いられなくなってきた.その後これらの疾患群は,「自己免疫病」的要素の濃いものが多いとしてそちらのほうに入れられたり,臨床的には「リウマチ」(筋,関節などの痛み)病群の中枢を占めるものとして取り扱われてきた.また,膠原線維だけではない,血管も含めた間葉系全体の病変であるとして,「結合織病」という名前を用いる人も増えてきた.しかしながら,自己免疫病には溶血性貧血や橋本甲状腺炎も入っているし,リウマチ症候群には痛風なども入り,結合織病というとMarfan症候群なども入るのかという話しになって,どの名前を使ってもこの疾病群をハズレルもののほうがむしろ多くなる傾向があり,結局は昔からの"膠原病"という名前は,やはりこれらの仲間の特徴を実に微妙に上手に表現した捨てがたい魅力ある言葉として今も使われている.
それらの代表としては,慢性関節リウマチ(RA),強皮症(PSS),全身性エリテマトーデス(SLE),多発性動脈炎(PN),皮膚筋炎および多発性筋炎(DM-PM)とリウマチ熱(RF)の6疾患が普通入れられる.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.