Japanese
English
特集 精神薄弱
奇形—とくに臨床病理学的立場から
Congenital malfomations: With special reference to clinicopathological studies
浜田 晋
1
Susumu Hamada
1
1都立松沢病院
1Tokyo Metropolitan Matsuzawa Mental Hospital
pp.227-243
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904499
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I.緒言
奇形とは「発育の間(胎生期すなわち先天的)に成立する,1個または数個の臓器あるいは臓器系統ないし全身の形態の変化のうち,その種属の変異の域外にあるもの(Schwalbe)」とされてきた。すなわち後天的に加わつた疾患とは一応対立概念であつた。奇形をすべて遺伝的,宿命的と考えていた時代はこれでもよかつたが,胎生期の発育の途上種々の外因によつて奇形ができることが明らかになつた今日,この両者を厳格に区別することはもはやできなくなつた。胎生期に加わつた病的過程は当然発育障害をともなうことになるからである。
奇形は外表奇形と内部(内臓)奇形に分けられている。そしてこの二つはしばしば共存することもありうる。さらに奇形を大まかな形態の異常だけに限らず,その中に組織の形態学的構造の先天的異常をも含めて,それを組織奇形とよぶことがある。これは単に肉眼的奇形にのみ限定して論ずることは,発育障害の本質を考える時,表面的かつ非現実的であるという主張に基づく。ここで重度majorの奇形と,軽度minorの奇形が問題となる。しかし組織奇形にまで問題を拡げる時,正常変異Variationの限界をどこにおくか?という,たいへんやつかいな議論を生む。これはさらにつきつめて行くと,精神薄弱の身体的基礎substratをどこに求めるかという大問題にまて拡大されてしまう。
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