臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
122.ICG
浪久 利彦
1
,
山城 雄二
1
1順大内科
pp.1908-1909
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216226
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異常値を示す疾患
ICG試験に異常をきたす疾患は一括して,「BSP」の項に示した.ICGはBSPと比べて種々の生物学的特性を有することから,肝色素排泄機能検査法としてその有用性が高く評価されている.現在臨床的には血漿消失率(KICG)と15分停滞率(R15ICG)が広く使用されているが,さらに血液と肝の2つのコンパートメントを想定して,これによりその間の移行率を算定したり,色素の最大排泄能を測定し,肝の機能量を推定するために最大除去率(Rmax)の算定も行われている,これらは色素移送動態を明らかにし,あるいは肝の予備力を知る手段としてきわめて有用である.
正常人のKICGは0.187±0.019(m±SD)で,R15ICGは7.7±1.7%であり,加齢にしたがって低下する.図1,2はKICGとR15ICGをそれぞれ3等級に分け,それに分布する慢性肝疾患135例を百分率で示した.すなわち,R15ICGが21%以上を示すときは半数以上が肝硬変であり,KICGが0.06以下を示す場合はまず肝硬変と考えて間違いない.これはKICGと肝の組織学的所見とを対比検討した結果でも,KICGは小葉改築やグ鞘の線維化の程度と相関していることからも,肝硬変の診断にとくに有用であることがうなずける.
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