特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
VIII.血液化学検査
ICG
浪久 利彦
1
,
山城 雄二
1
1順大内科
pp.634-635
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205944
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異常値を示す疾患
ICG色素排泄試験の異常をきたす疾患を表に示した.現在行われているICG試験には大別して2つある.その1つは血漿消失率の測定であり,他の1つは15分停滞率の測定であるが,いずれの場合も,原理的には同一で,ある循環血漿量に対し,一定量のICGを投与し,それが血中から消失する速度を表現したものが消失率であり,一定時間後,血中に残存した量を投与量と比較したものが停滞率である.ICG血漿消失率の正常限界は0.168〜0.202であり,15分平均停滞率は10%以内とされているので,境界値は消失率として0.10〜0.15,停滞率として10〜15%としてみることができる.図1,2はICG試験を施行した症例中,肝生検にて診断を確認したもので,筆者らが最近2年間に経験した,肝硬変(LC)50例,慢性肝炎活動型(CAH)50例,慢性肝炎非活動型(CIH)35例について15分停滞率と消失率を百分比で表したものである.ICG15分停滞率が21%以上を示す場合には,その65%がLCであり,10%以下の停滞率をみることは稀である.また消失率が0.06以下の場合は90%以上LCである.慢性肝炎活動型の場合は,その病態によって,非常に良い値から,非常に悪い値まで,広い範囲に分布している.急性肝炎については,病期に応じてその成績が異なるが,経過を追ってICG試験を行うと,回復期に他の検査成績が全て正常化しても,なおICG試験のみが異常値を示すことがあり,その時期の生検像にはなお炎症の存在を認めるので,ICG試験が正常化するまでは完全に回復したとは考えられず,急性肝炎の治癒判定に用いることもできる.
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