臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
94.鉄結合能
黒川 一郎
1
1札幌医大中検
pp.1852-1853
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216198
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
生体内の鉄代謝のメルクマールとして鉄結合能が測定される.血漿鉄はβ1グロブリン中のトランスフェリン(分子量約90,000,ムコ蛋白質,鉄結合蛋白質,ジデロフィリンなどと呼ばれる)とキレート結合して血中を担送される.正常血漿トランスフェリンは平均260mg/dlといわれるが,その1mgは1.3μgのFeと結合する.それゆえ,正常人血清1dlは260×1.3μg=338μgのFeと結合しうる力を持つ.これを総鉄結合能(TIBC)と呼び,この中で実際に血清鉄と結合している割合を飽和度,フリーの部分を不飽和鉄結合能(UIBC)と呼ぶ.鉄結合能はTIBC,UIBCを一応区別し,かつ血清鉄値と関連づけて考えるべきである.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.