特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
VIII.血液化学検査
鉄結合能
黒川 一郎
1
1札幌医大・中検
pp.586-587
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205920
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生体内の鉄代謝の指標として,血清鉄と並んで鉄結合能の動態が注目される.血漿中の鉄はβ1グロブリンに属する分子量90,000のムコ蛋白質によって担送される.この蛋白質はトランスフェリン,鉄結合蛋白質,ジデロフィリンなどと呼ばれる.正常者の血清トランスフェリン値は平均260mg/dlといわれ,その1mgは1.3μgのFeと結合する性それ故,正常人血清1dlは260×1.3μg=338μgの鉄を結合しうる能力をもつ.これを総鉄結合能(TIBC)と呼び,このうち血清鉄と結合している割合を飽和率,フリーの部分を不飽和鉄結合能(UJBC)と呼ぶ.鉄結合能はTIBC,UIBCを一応区別し,かつ血清鉄値と関連づけて考えることがのぞましい.
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