増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
血液ガス・電解質・微量金属
血清鉄と鉄結合能
秋澤 忠男
1
1昭和大学藤が丘病院内科(腎臓)
pp.224-225
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909812
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検査の目的・意義
鉄は体内に約4,000mg存在する微量元素で,そのうち約2/3がヘモグロビン内に含まれる.残り1/3のほとんどが,フェリチンやヘモジデリンなどの貯蔵鉄として肝臓,脾臓や骨髄の網内系に分布し,血漿中に存在する鉄はトランスフェリンと結合した約0.1%を占めるに過ぎない.トランスフェリンはβ1-グロブリン分画に含まれる分子量79,500の糖蛋白で,貯蔵鉄プールから骨髄の赤芽球に鉄を運搬する役割を演ずる.トランスフェリン1分子は鉄2原子を結合することから,血漿中のトランスフェリンが結合し得る鉄の総量を総鉄結合能(total iron binding capacity:TIBC)という.
一方,健常人では通常トランスフェリンの持つTIBCの約1/3に鉄が結合しており,さらにトランスフェリンに結合し得る鉄の量を不飽和鉄結合能(unsaturated iron binding capacity:UIBC)と呼ぶ.したがって,
UIBC=TIBC-血清鉄
の関係が成立する.
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