増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
血液ガス・電解質・微量金属
血清鉄と鉄結合能
石橋 敏幸
1
,
丸山 幸夫
1
1福島県立医科大学第1内科
pp.422-424
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906405
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
体内の総鉄量は約3,000〜4,000mgで,約2/3は赤血球内の血色素鉄(ヘモグロビンに結合した鉄)として,1/3弱は肝,脾,骨髄などの網内系組織に貯蔵鉄(フェリチンとヘモジデリン)として存在する.血清中の鉄は体全体の約0.1%(3〜4mg)にすぎない.血清鉄は,血清蛋白のβ1グロブリン分画に属するトランスフェリンに結合し存在している.トランスフェリンは肝臓で合成され,1分子あたり2個の三価鉄イオン(Fe3+)を結合することができ,生体において鉄輸送蛋白として機能している.
血清中のトランスフェリンと結合できうる鉄の量を総鉄結合能(total iron binding capacity:TIBC),不飽和のトランスフェリンと結合できうる鉄の量を不飽和鉄結合能(unsaturated iron binding capacity:UIBC)という.血清鉄値とUIBC値を加えたものがTIBC値となる.通常,TIBC値は血清トランスフェリン値を意味するものと考えてよい.
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