臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
93.血清鉄
黒川 一郎
1
1札幌医大中検
pp.1850-1851
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216197
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はじめに
血清鉄濃度は腸管からの吸収,網内系,骨髄への移行,組織⇄血漿間の移動などのバランスによってほぼ一定の値を保持している.吸収される際は食餌中の含量,摂取量,小腸から同時に吸収される物質による促進(グルタミン酸,アスパラギン酸,VC),競合(メチオニン,プロリン,セリン,リン酸化合物)作用をうける.体内総血清鉄量は4,000mgであるが,前述した諸臓器間のturn overは大で,総量30mg分が1日間で体内を移動する.腸管から吸収された鉄は第一鉄イオン(Fe++)として血流に入り,細胞内で酸化されてFe+++となり,アポフェリチンと結合してフェリチンとなる.さらに体内循環をするときはβ1グロブリン分画中のトランスフェリンと結合(キレート結合?)して鉄蛋白として血中を担送される.
鉄は体内では細胞(チトクロームなど),RES(貯蔵),骨髄(Hb),筋肉(ミオグロビン)として利用される.したがって,血清鉄はこの間にあってこれらの諸臓器の機能,吸収,排泄のバランス,人間の成長,日内変動,トランスフェリン量,性差,疾病など多面的に影響されている.
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