臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
90.クレアチンとクレアチニン
大野 丞二
1
,
大原 憲一
1
1順大内科
pp.1842-1843
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216194
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はじめに
クレアチン,クレアチニンの生合成は,まずアルギニンのグアニジル基がトランスアミナーゼの酵素作用によりグリシンに転移され,グリコシラミンが作られる.次に主に肝臓でメチル・トランスフェラーゼによりクレアチンが合成される.肝臓で合成され血中に分泌されたクレアチンは筋細胞に取り込まれ,クレアチン・フォスフォキナーゼ(CPK)と呼ばれる酵素の関与で可逆的に反応し,クレアチン・リン酸として存在している(60〜80%).この反応は,Lohmann反応で主に糖質を好気的に分解することにより生ずるATPの化学的エネルギーをクレアチン・リン酸の形で保存し,筋活動に際し必要なATPを生ずるために,速やかに利用できるエネルギーの貯蔵を行っている.一方,20〜40%のクレアチン・リン酸は非酵素的に一定の割合で脱リン酸されクレアチニンとなる.
クレアチン,クレアチニンはいずれも腎臓より排泄される.クレアチンは前述のように,生体にとって重要な物質であるので,腎糸球体より濾過されても近位尿細管で再吸収される.したがって,正常男子では尿中にクレアチンは通常認められない.
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