臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
103.クレアチンとクレアチニン
大野 丞二
1
,
大原 憲一
2
Joji Ono
1
,
Kenichi Ohara
2
1順天堂大学医学部・腎臓内科
2順天堂大学医学部・内科
pp.2344-2345
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219424
- 有料閲覧
- 文献概要
クレアチン,クレアチニンの生合成は,まずアルギニンのグアニジル基がトランスアミナーゼによりグリシンに転移され,グリコシアミンが作られる.次に主に肝臓でメチル・トランスフェラーゼによりクレアチンが合成される.肝臓で合成され血中に分泌されたクレアチンは筋細胞に取り込まれ,クレアチン・フォスフォキナーぜ(CPK)の関与で可逆的に反応し,クレアチン・リン酸として存在している(60〜80%).この反応は,Lohmann反応で主に糖質を好気的に分解することにより生ずるATPの化学的エネルギーを,クレアチン・リン酸の形で保存し,筋活動に際し必要なATPを生ずるために,速やかに利用できるエネルギーの貯蔵を行っている.一方,20〜40%のクレアチン・リン酸は非酵素的に一定の割合で脱リン酸されクレアチニンとなる.
クレアチン,クレアチニンはいずれも腎臓より排泄される.クレアチンは前述のように,生体にとって重要な物質であるので,腎糸球体より濾過されても近位尿細管で再吸収される.したがって,正常男子では尿中にクレアチンは通常認められない.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.