臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
I.尿検査
15.ヘモグロビン尿
藤林 敏宏
1
1大阪成人病センター腎病態生理研
pp.1656-1657
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216119
- 有料閲覧
- 文献概要
ヘモグロビン尿の出現機序
正常状態ではヘモグロビンは赤血球内に存在し,血漿中には極微量(3mg/dl)しかない.120日の寿命を終えた赤血球は網内系組織内で崩壊し,遊離したヘモグロビンはα2-グロブリン分画に属するハプトグロビン(血漿中に100mg/dl存在する)と速やかに結合し,ヘモグロビン・ハプトグロビン複合体がつくられる.このものは高分子のため腎糸球体から濾過されず,網内系で処理され,ヘムは鉄と間接ビリルビンに,グロビンはアミノ酸に代謝される.
血管内溶血が急激大量か持続性に起こる病的状態では血漿ヘモグロビン濃度が増加し,ハプトグロビン結合能(ハプトグロビン100mg当たりヘモグロビン140mgと結合する)を凌駕する量になると,遊離ヘモグロビンが血漿中に増加してヘモグロビン血症を呈するようになる.血漿ヘモグロビン濃度が70mg/dl以上になるとヘモグロビンは糸球体から漏出してくる.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.