職業病の知識
頸肩腕症候群,腰痛
石田 肇
1
1日本医大理学診療科
pp.1100-1101
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215979
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はじめに
本邦における職業病の基本条項ともいうべき業務上疾病の範囲を定める労働基準法施行規則第35条の規定が,昭和22年労働基準法の施行と同時に定められてから30年ぶりに昭和53年3月30日労働省令第11号によってその一部が改正された.従来,非災害性の腰痛や上肢作業者にみられる頸肩腕症候群は旧規定第35条第38号の「その他業務に起因することの明らかな疾病」の中に括られていたが,今回の改定では,第3号の「身体に過度の負担のかかる作業態様による疾病」の中に包括されることとなった.この中に含まれる作業態様に起因する疾病とは,「使用する機械器具又は取り扱う物とこれに関連した作業密度,作業姿勢,身体局所に加わる負荷等いわゆる人間一機械(物)系から生ずる有害因子による疾病」と解説されている.
さて頸肩腕症候群は,生産性の向上,省力化などを目的に機器が導入されたためのキーパンチャー,タイピスト,速記者などの上肢作業に基づく障害であり,昭和44年10月29日付け基発第723号通達「キーパンチャー等手指作業にもとづく疾病の業務上外の認定基準について」により指示されたが,その後の社会情勢の変化に伴い昭和50年2月5日,基発第59号により「キーパンチャー等の上肢作業にもとつく疾病の業務上外の認定基準について」と改定され今日に至っている.
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