今月の主題 癌と免疫
免疫療法との併用による癌治療
外科療法
藤井 源七郎
1
,
関口 守正
1
,
佐丸 義夫
1
,
宮本 洋寿
1
,
江里口 正純
1
1東大医科研外科
pp.1038-1039
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215966
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手術と免疫療法
現今,癌の免疫療法の主流は,非特異的免疫刺激剤(nonspecific immunostimulant, NSI)あるいは免疫賦活剤と称せられるものを用いて,低下した癌患者の免疫応答能を回復,亢進させ,ひいては癌に対する特異的免疫を誘導しようとするものである.手術や麻酔による侵襲で免疫応答能が低下することも知られており,手術操作により撒布される癌細胞の転移形成に連なる危険を予防する意味でもNSIの使用は有利と考えられる.
現在,すでに市販されているわが国の免疫療法剤は,その抗腫瘍効果が一応認められたものではあるが,手術の補助的併用療法については,現在多くの臨床研究グルーフによって試みられているが,その抗腫瘍効果として,手術後の生存期間や寛解期間の延長について成績を得るに至っていない.免疫療法剤の投与量,投与期間,投与時期なども,試行錯誤を重ねているというのが現状てあろう.ここでは,術前,術後の併用療法について試行の例をあげてみたい.
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