Japanese
English
主題 免疫・2
同種移植免疫
Transplantation Immunity
藤井 源七郎
1
Genshichiro Fujii
1
1東京大学伝染病研究所外科学研究部
1Department of Surgery, the Institute for Infectious Diseases, University of Tokyo
pp.284-291
発行日 1965年12月15日
Published Date 1965/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902655
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今日,移植免疫の研究が重視される理由の一つに,外科領域で臓器移植研究の機運が熟し,その技術的進歩と,細胞毒物質の免疫反応抑制への応用がある程度の効果をあげてきたことから,基礎的問題である同種移植免疫反応の研究が要請されていることがあげられる。他方,異種抗原(heterologous antigen)を対象にしてきた古典免疫学—そういういい方があるならば—に,最近のほぼ10年の間に,免疫学的トレランス(immunological tolerance)の現象が,生体の自らの種(species)に属する同種抗原(homologous antigen)を対象とする同種移植において証明されたのをはじめ,同種(homo-),同系(iso-)ないしは自己抗原(autoantigen)を対象とする新しい免疫学の領域がひらけ,腫瘍免疫や自己免疫疾患などの研究が展開されているが,そこでも,同種移植反応は一つの典型であり基礎となつている。同種移植反応では,古典免疫学が扱つてきた液性抗体(humoral antibody)の関与なくしても移植片拒否(homograft rejection)反応がおこるところから,細胞性抗体(cellular antibody),細胞性免疫(cellular immunity)などの概念が導入された。
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