Japanese
English
外科の焦点
外科と免疫学の問題
Immunological problems in surgery
藤井 源七郎
1
,
広瀬 定徳
1
,
後藤 俊二
1
Genshichiro FUJII
1
1東京大学伝染病研究所外科
pp.727-732
発行日 1966年6月20日
Published Date 1966/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203989
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局所の疾患を対象とした外科に,免疫学という全身性反応を対象とする学問は縁遠いものであつたろう.悪いところを切り取るだけで問題が片付かなくなり,いわゆる外科的疾患の病因を局所から全身性に求めるようになつたとき,まず感染に対する生体の反応—免疫反応—に眼が向けられたのは自然であろう.古くは,ヂフテリア破傷風,狂犬病等で,感染菌の外毒素(exotoxin)による致命的症状に,抗血清やワクチン等の免疫学的手段によつて著効がみられたのは,免疫学の外科における貢献ということではむしろ特異な例である.結核性疾患や,ある種の胆嚢炎等で,外科の立場から熱心に病因が免疫学あるいはアレルギーの基盤に求められた(石橋,昭33)1)が,このような場合,外来の細菌,すなわち異種の抗原に対する宿主反応の局所的発現を外科的な病気としてとらえ,抗体という免疫反応の"あかし"が,執拗に探求されたのである.今日の新しい免疫学の知見,手技からみれば,当時すでに,異種抗原を対象とする古典免疫学から,同種抗原や自己抗原を対象とするに至つた新しい免疫学の基盤が求められていたものといえよう.
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