今月の主題 血栓とその臨床
血栓の治療
血小板阻害剤
本宮 武司
1
,
山崎 博男
1
1東京都臨床医学総合研究所循環器部
pp.870-871
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215921
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はじめに
近年,血栓形成における血小板の役割が明らかとなり,血栓症の治療法として抗凝血療法,線溶療法と並んで血小板阻害剤の使用が注目され,とくに動脈にできる白色血栓に対しては抗凝血薬は有効ではなく,線溶療法は長期の治療に適さず,抗血小板剤の効果が期待されている.さらに最近の血小板に関する生化学,薬理学の進歩は血小板活性化に際して強力な脈管作動物質の産生放出されることを明らかとし,血小板が血栓形成ばかりでなく直接血管に働いて収縮を惹起し,内膜を傷害する可能性を示した.そのため血栓性虚血性諸疾患における血小板の病因的役割が注目され,血小板阻害剤療法の効果が期待されている.本稿では,その主たる薬剤の臨床評価について簡潔に解説することにし,精細は他の綜説1〜4)にゆずる.
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