技術解説
血小板凝集能検査
山崎 博男
1
1東京都臨床医学総合研究所循環器研究部
pp.935-943
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914858
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血小板が異物表面に付くと同時に互いに凝集する現象が1885年,EberthとSchimmelbuschによりviscous metamorphosisとして記載され,血小板がなんらかの機能を持っている細胞であると認識されて以来,血小板の凝集現象は血小板機能の中で最も特徴的かつ重要なものとして,多くの検討がなされている.凝集の機構についてはなお完全な解決をみていないが,現在,血小板機能低下を示す種々の血液疾患のみならず,機能亢進の考えられる血栓症,動脈硬化性疾患,糖尿病などについても多くの臨床的検討があり,血小板凝集能検査は広く行われつつあるようになった.赤血球から出る因子が血小板を凝集するという観察に始まって,この因子がアデノシン二リン酸(ADP)であるとしたGaarderらの報告1)以来,血小板凝集におけるADPの役割が極めて重視されている.
ADP凝集が生体における血小板凝集をすべて説明しうるかについては若干の疑問があるが,現在血小板を凝集させる60ばかりの物質によって起こる凝集の多くにおいて,血小板内部のADP(内因性ADP)の放出が,凝集機構において重要であるという成績からも,血小板凝集起因物質としてADPが最も広く用いられている.
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