今月の主題 血栓とその臨床
血栓の治療
ウロキナーゼ
松田 保
1
1東京都老人総合研究所臨床第2生理研究室
pp.872-873
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215922
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ウロキナーゼの特徴
ウロキナーゼは,本邦において開発された薬剤であり,血漿または血栓中に存在するプラスミノゲンを分解してプラスミンに転化し,血栓を溶解する.この目的には以前よりβ溶連菌の濾液より精製されたストレプトキナーゼが欧米で広く用いられてきた.ストレプトキナーゼは,まずプラスミノゲンと複合体を形成し,次いで,この物質がプラスミノゲンをプラスミンに転化すると考えられているが,溶連菌感染の既往により,血中に種種の量の抗体が存在し,その効果が一定でないこと,アレルギー反応を生ずる可能性があること,大量に投与するとむしろ血液の線溶活性が低下すること,純度の高い製品を用いても副作用としての発熱がしばしばみられること,などの欠点がある.これに対し,ウロキナーゼは人尿より精製するため比較的高価であり,また大量に使用する場合の供給の点にも多少の問題はあるが,抗原性がなく,発熱の副作用もないなどの長所があって,欧米でもストレプトキナーゼにとって代わりつつある.また,最近,ヒト胎児の腎組織の培養によるウロキナーゼの抽出も行われ,供給の点でも福音となり得るかも知れない.
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