今月の主題 血栓とその臨床
血栓塞栓症
腸間膜動脈
林 四郎
1
1信州大第1外科
pp.866-867
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215919
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はじめに
絞扼性イレウスのように二次的に腸管の血行障害が惹起され,生命をおびやかす疾患とともに,本稿の主題,腸間膜動脈の血栓症のように一次的に腸管梗塞が発生することもある.腸管の血管系には豊富な吻合路が存在しているために,1本の動脈が閉塞しても腸管梗塞が発生しにくい面もある一方,いつたん広範囲の梗塞が発生した場合には穿孔,高度な代謝性アシドージスやショック状熊を招き,救命の機会を失うことも多い.しかし,血管造影の普及により閉塞性病変が予想以上に存在することが明らかにされ,また血行再開手術の手技の向上,抗ショック療法などの進歩にも力を得て,この種の急性重篤疾患の治療にも希望の曙光が認められるようになっており,診断のポイントなどを中心に本血栓症の現況と問題点をあげたい.
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