今月の主題 臨床家のための輸血学
免疫からみた輸血
non-HLA型抗原抗体と輸血副作用
柴田 洋一
1
1東大輸血部
pp.362-363
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215800
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
白血球および血小板は赤血球に比較して免疫原として強力であることが知られている,つまり輸血をくり返していると,患者には赤血球に対するよりも高頻度に白血球および血小板に対する抗体が生じる.これらの抗体の特異性は十分に解明されていないが,白血球および血小板に共通な抗原であるHLA(human Ieukocyteantigen system,ヒト白血球抗原系)とそれに属さないnon-HLA抗原に大別されている(図1).
白血球および血小板による輸血副作用の主たるものは,悪寒戦慄,発熱,発疹などであるが,稀には肺水腫やアナフィラキシーショックに至る重篤なものもある.これらの症状をきたすのが,①HLA抗原抗体反応によるのか,②non-HLA抗原抗体反応によるのかについては十分な証拠は集まっていない.たぶん両方の抗体ともにこれらの副作用に関係していると考えられる.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.