今月の主題 臨床家のための輸血学
輸血の副作用とその対策
抗原抗体反応に関するもの—赤血球血液型不適応輸血
遠山 博
1
1東大輸血部
pp.364-365
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215801
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機構
赤血球は,その膜に抗原決定基を持っており,不適合輸血があって対応する抗体がたくさん結合すれば赤血球は凝集し,補体活性化の連鎖反応が起こってC1→C9に到り,これが作用して赤血球膜が破壊されて溶血が起こる,Hbが血漿中に放出されると,α2グロブリンに属するハプトグロビンhaptoglobin,Hpがこれに結合し,Hp-Hb結合体をつくり,肝その他の網内系で処理される.この他にβグロブリンの一部もHbと結合して同様にして処理されるが,この成分はヘモペキシンhemopexinと呼ばれる.しかし,これらの防衛機転には限界があり,それ以上のHbは処理できない.補体活性化途中のC3あたりの成分が血管活性物質様のpolypeptideを遊離してこれがショックを起こす主原因となる.
血漿中のHbが25mg/100mlぐらいで尿中に排泄され始め,腎に対してHbが毒性を発揮し,とくに血液のpHの低いときに著しい.低血圧による腎循環の低下,フィブリン塊による腎血管・細尿管の閉塞などと相まって腎不全を起こし,乏尿・無尿に移行する.
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