今月の主題 心筋症—その展望
原因のはっきりしない心筋症
肥大型閉塞性心筋症(HOCM)
園谷 昇
1
,
津 正
1
1阪医大第3内科
pp.22-26
発行日 1979年1月10日
Published Date 1979/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215709
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はじめに
特発性心筋症(idiopathic cardiomyopathy)の分類に関して,厚生省特定疾患研究班1)は,肥大型(hypertrophic type)とうっ血型(congestive type)に大別,さらに肥大型を閉塞性と非閉塞性に分類する.肥大型閉塞性心筋症は心室中隔が肥厚し,左室腔が狭小化し,左室流出路の閉塞を示し,血行動態的にも大動脈と左室腔に収縮期圧較差の存在が証明され,さらにこの閉塞の機構が通常の大動脈弁狭窄症と異なり,機能的因子が作用する特異な血行動態像を呈する.これがアメリカにおける特発性肥大型大動脈弁狭窄症(idiopathic hypertrophic subaortic stenosis;IHSS)2),カナダにおける筋性大動脈弁下狭窄症(muscular subaortic stenosis;MSS)3),英国における肥大型閉塞性心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy;HOCM)4)に該当する.
血行動態的特徴については,Braunwald5)によって詳細な研究が行われたが,本症への心エコー図検査法導入を契機に新たな展開をみた.
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