今月の主題 リポ蛋白—最近の知識
リポ蛋白代謝に関する検査
PHLA—LPLと肝性TGリパーゼ
村勢 敏郎
1
1東大第3内科
pp.2404-2405
発行日 1978年12月10日
Published Date 1978/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208381
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はじめに
カイロマイクロンおよび超低比重リポ蛋白(VLDL)のカタボリズムの最初のステップは,末梢組織におけるトリグリセライド(TG)の加水分解反応に始まるが,この反応を触媒している酵素がリポ蛋白リパーゼ(lipoprotein lipase,LPL)である.加水分解によって遊離した脂肪酸(FFA)は組織に取り込まれて熱源として利用されるか,またはTGに再合成されて組織に貯蔵される.すなわち,LPLの生理的役割は,血漿リポ蛋白-TGの組織への取り込みを調節することにある。これをまた血漿リポ蛋白代謝の面からみるならば,LPLは血漿TGの処理,すなわち異化の速度を規定している酵素なのである.この酵素は脂肪組織をはじめとして,心筋や骨格筋,肺,乳腺などの末梢組織に分布している.
これに対して肝には肝性TGリパーゼ(hepaticTG lipase,H-TGL)と呼ばれるTGの加水分解酵素が存在する,H-TGLはLPLと分子量やアミノ酸組成の上で非常に類似している1)が,化学的な諸性質や免疫学的態度の上でLPLとは明確に区別することができる,H-TGLのリポ蛋白代謝における機能についてはまだ明らかにされていない。カイロマイクロンやVLDLの"remnant"の処理に与っている可能性も推測されているが,これについては否定的な見解をとる研究者も少なくない.
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