今月の主題 膠原病診療の実際
免疫療法の現状と展望
免疫抑制療法
熊谷 俊一
1
1京都大学医学部・第2内科
pp.1408-1409
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221055
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膠原病の原因は不明であるが,その病因や病態に自己免疫機序が関与していると考えられる.図1の左側に示すように,自己免疫疾患では遺伝的背景にさまざまの環境因子が働き,細胞性免疫の異常や自己抗体産生などの免疫異常を引き起こす.その免疫異常が臓器特異性自己免疫疾患,例えば自己免疫性溶血性貧血では抗赤血球自己抗体による赤血球破壊(Ⅱ型アレルギー)=貧血のように,直接的に臓器障害=機能異常をもたらす.
一方,膠原病の多くは全身性(臓器非特異的)自己免疫疾患に分類され,免疫異常が全身の結合組織を反応の場とした炎症(Ⅱ型,Ⅲ型,Ⅳ型アレルギー)を惹起し,その炎症にもとづく線維化が臓器障害をもたらすと考えられる.全身性エリテマトーデス(SLE)に見られる抗DNA抗体とその免疫複合体によるループス腎炎=腎機能障害などがその例である.
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