今月の臨床 流産
治療
24.治療方針の原則
麻生 武志
1
,
阿部 史朗
1
Takeshi Aso
1
,
Shiro Abe
1
1東京医科歯科大学医学部産科婦人科
pp.76-78
発行日 1993年1月10日
Published Date 1993/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901157
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治療方針の決定に当たって
妊娠の確定と妊娠部位の同定
流産は無月経・腹痛・性器出血を主訴とし,時に無月経のみで他の自覚症状を伴わないこともある。流産以外にもこれらの症状をきたすことは多く,まず妊娠を確診しなければならない。そして妊娠であれば,子宮内または子宮外の妊娠かを明らかにし,絨毛性疾患を除外する。
予診・問診に基づく外診・内診所見が妊娠の診断の基本である。妊娠診断補助試薬の感度・特異性が向上し,規則的な排卵周期を有する症例では予定月経から1週間以内に妊娠を診断できる。これに伴いきわめて初期の流産chemical abortionの存在が問題となっており,その取扱いを含め,流産の考え方に大きく影響するであろう1)。子宮外妊娠でも妊娠反応は陽性であり,子宮内妊娠との鑑別はできない。また逆に妊娠反応が陰性であっても子宮外妊娠を完全に否定することにはならない。
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