今月の主題 糖尿病診療の現況
治療
インスリン治療の原則
松田 文子
1
Ayako MATSUDA
1
1自治医科大学・内分泌代謝科
pp.49-51
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216996
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糖尿病治療におけるインスリン療法は一種のホルモン補充療法と解されるが,ほかのホルモン補充療法に比較して問題点が多い.現在のインスリン製剤と投与法の範囲では,理想的な補充療法を実施することは不可能である.それはインスリンの生理的分泌は門脈内になされること,食事摂取で速やかに上昇するきめ細い生理的リズムがあること,ほかのホルモンとの拮抗または共同作用が存在すること,ならびに組織でのインスリン感受性の変化や,需要量の変動があることなどのためである.
糖尿病は単にインスリンの絶対的不足のみで生じるものではなく,組織でのインスリン作用の障害,インスリン需要量の増大による相対的不足,およびインスリン分泌調節のずれなどで起こる種種の不均一な病態を総称している.
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