特集 小児の心身症~いま改めて心身相関を考える~
総論:診療を巡ってあれこれ
薬物療法の原則
直井 高歩
1
NAOI Takayuki
1
1株式会社日立製作所ひたちなか総合病院小児科
pp.949-952
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000955
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はじめに
小児の薬物治療について,日々の診療で苦慮することは多い。年齢や体重で用量が異なるので,都度確認したり,子どもが飲めるよう剤形を工夫したりするほか,そもそも小児の適応や用法用量が定められていないことがある。さらに心身症では,身体症状への薬剤だけでなく,精神症状への薬剤や漢方薬など,さまざまな選択肢から状況に応じて処方することになる。診断名よりも症状を重視するため薬剤の適応症とズレが生じる,症状の増減に「心」がかかわるため薬効が予測しづらい,保護者や子どもに同意を得るための説明がしにくいということもある。薬物治療のポイントとして,『初学者のための小児心身医学テキスト』1)では,① 治療対象は身体症状か,不安・抑うつなのか,登校状況なのかを意識する,② 服薬コンプライアンスと内服効果によって,子どもが「何に困っているのか」を考える,③ 疾患に対する適応外使用か,小児適応がないのかを意識する,ことを挙げている。
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