臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
VIII.神経・筋疾患
3.神経系治療薬の選び方
抗うつ剤
伊藤 斉
1
1慶大精神神経科
pp.2112-2113
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208273
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はじめに
うつ病ならびにうつ状態の受診患者数は徐々に,しかも確実に増えつつある.専門領域の精神神経科だけでなく,各診療科を訪れる患者の中にも少なからず見出される.本邦でははっきりした数字は得られていないが,スイスのバーゼル大学附属病院では1948年には全科の入院患者のうちわずか8%しか合併症としてのうつ病が存在したに過ぎなかったものが,1977年には一躍28%に増加していることが報告されている.このように増加しつつある抑うつ患者の治療をいかに考えていったらよいか?抗うつ薬が出現し,その種類も十指に余るようになった.個々の患者に最適の治療薬を選ぶことは必ずしも容易ではないが,実地診療上の問題点として,①抗うつ薬の臨床作用スペクトル,②うつ病,うつ状態の病因別分類と治療,③抗うつ薬の副作用,④抗うつ薬の相互作用,⑤難治例を取り上げて簡単に述べ,参考に供したい.
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