臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
VI.内分泌疾患
2.バセドウ病治療の要点
バセドウ・クリーゼの治療
飯野 史郎
1
1昭和大藤が丘病院内科
pp.2014-2016
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208236
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バセドウ・クリーゼの定義
バセドウ・クリーゼの適正な治療を行うためには,まず,正確な診断を行うことが不可欠である.しかし,現在,バセドウ・クリーゼの定義については必ずしも統一見解が得られておらず,その判定基準も研究者によりまちまちである.それは,本クリーゼに特異的な検査所見はなく,その診断はもっぱら臨床的であって,絶対的なものではないからである.
多くの学者の意見を総合すれば,『バセドウ・クリーゼとは,甲状腺中毒症状が急速かつ高度に増悪した状態で,しばしば致命的であり,発熱,高度頻脈,意識障害,心不全,肝機能障害などを随伴するものをいう』.しかし,より現実的には,バセドウ病患者において,甲状腺中毒症状の増悪のほかに,38℃以上の発熱と高度の頻脈が随伴する場合には,本状態の存在を疑うべきであろう.
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