臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
IV.消化管疾患
7.消化管手術後の対策と管理
ダンピング症候群の管理
平塚 秀雄
1
1平塚胃腸病院
pp.1946-1947
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208211
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はじめに
ダンピング症候群は胃切除患者の10〜20%に生ずると考えられているが,その病態は複雑であって完全に理解されていない.1922年Mixは初めてdumping stomachと命名し,胃切除後に食物が吻合部から急速に墜落様に排出するために起こる愁訴と考えられていた.しかし胃切除以外でも,胃腸吻合術あるいは空腸中に濃厚液をゾンデで注入しただけでも起こるため,急速排出のみによるものでないことが明らかとなった.その後AdlersbergおよびHammershlag(1947)はダンピング症候群には食後早期に起こってくる早期食後症状early postprandial dumping syndromeと,食後数時間してから起こる後期食後症状late postprandial dumping syndromeとがあり,前者は食物の急速排出が原因であり,後者は食後急速に上昇した血糖がインスリン過剰分泌により反動的に下降する低血糖が原因であると述べている.現在一般には,ダンピング症候群というと早期症状を意味し,後期症状late postprandial hypoglycemiaはダンピング症候群から除外されている.
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