Japanese
English
綜説
ダンピング症候群
Dumping Syndrome
友田 正信
1
,
水谷 和正
1
Masanobu TOMODA
1
,
Kazumasa MIZUTANI
1
1九州大学医学部第二外科教室
pp.689-698
発行日 1961年8月20日
Published Date 1961/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202800
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Ⅰ.緒言
近年,胃手術の直接死亡率の著しい低下に伴い,胃手術を安全に行うと云う丈でなく,術後の後遺症を如何に予防し治療するかと云う事が外科医にとつて重要な問題となつて来た.胃手術患者に可成りの頻度に発現するダンピング症状は,脱力感,嗜眠,頭重感,心悸亢進,腹部膨満感等食事に関係した種々の苦痛を患者に与え,摂食量を減少せしめて患者の栄養低下を来す事もあり,術後管理上極めて注目すべき後遺症である.
ダンピング症候群については古くから注目せられ,Hertz(1913)は胃腸吻合術後,食後に腹部膨満感の現れる患者で胃内食餌の急速排出のある事を指摘し,またZeiseによればMix(1922)が最初にいわゆるダンピング症候群について記載したと云う.その後,Zollinger & Hoerr(1947)はこの症状が食直後または食後数時間で起る事を認め,Adlersberg & Hammerschlag(1947)はダンピング症状を早期ダンピング症状と後期ダンピング症状の2群に分類し,以後,食事中または食後30分以内に発現する早期ダンピング症状と,空腹時に発現する後期ダンピング症状とは本態を異にするものとして別個に論ぜられて来た.後期ダンピング症状は食後の血糖値の変動と関係するものの様であり,間食により治ることが認められている.本稿においてはダンピング症状中特に早期ダンピング症候群について述べる事とする.
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