臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
IV.消化管疾患
4.食事療法のコツと注意
絶食療法—高カロリー輸液
岡田 正
1
1阪大第1外科
pp.1914-1916
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208199
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はじめに
われわれが日常経験する疾患のうちには,摂取された食物が病巣を刺激し,病状のいっそうの悪化をきたしているものがある.このような疾患に対して一定期間絶食とし,食餌による病巣刺激を断つことは極めて合理的な治療法といえる.従来このような「絶食療法」は種々の消化器疾患に対して用いられ,その効果は広く認められている.しかしながら,この療法も治療期間の点では著しい制限があり,この間の栄養補給がなんらかの方法でなされないと患者は次第にるいそうをきたし,治癒を期待しうるどころか逆に症状のいっそうの悪化さえきたすことも稀ならず経験されてきたのである.このようないわば「絶食療法の限界」に対して新しいアプローチとして挑戦しつつあるのが高カロリー輸液療法である.
高カロリー輸液法は衆知のごとく,上大静脈内に留置したカテーテルを通じて高張グルコース・アミノ酸混合液に主なる電解質類ビタミン類などを混合し,これを持続投与する方法である.本輸液法は米国のDudrickら1)の努力により最近10年間に長足の進歩を遂げ,次第に安全確実な治療手段として認められるに至った.当初は経口摂取の不能な患者に対する唯一の栄養維持手段として試みられてきた本輸液法も適応の幅が広げられ,種種のバラエティーに富んだ病態に対して応用がなされている.
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