臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
IV.消化管疾患
4.食事療法のコツと注意
下痢
渡辺 晃
1
1東北大第3内科
pp.1912-1913
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208198
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急性下痢の食事
比較的短時日で回復するから栄養補給を急ぐ必要はない.初期には厳重な食事制限を行い,症状の激しい最初の1日ぐらいは絶食とする.この際,下痢で水分が失われるので,湯ざまし,薄い番茶や麦茶,薄い紅茶などを十分に与えて脱水を防ぐ.悪心・嘔吐があって経口的に水分の補給ができないときは,ブドウ糖液,生理食塩水を静注する.翌日頃からおも湯,くず湯,砂糖湯,ブドウ糖液などの流動食および野菜スープを与える.ついで便通の状態を考えあわせながら次第に制限をゆるめ,5分粥から全粥,うどん,ウェファース,ビスケット,プリン,バターをごく薄く塗ったトーストなどに移っていく.副食としては半熟卵や茶碗蒸しの卵,豆腐,脂肪の少ない白身の魚(ひらめ,かれい,さわら),鶏のささ身,焼麩,はんぺん,よく煮たにんじん,裏ごししたじゃがいもやほうれんそうを与える.原則として線維・脂肪の少ないもので,薄味に煮たものを用いる.症状が悪化しなければ早めに普通食に戻してよいが,はじめは少量ずつ頻回に与えたほうがよい.
一般に生野菜,生の果物は線維が多いので避けるようにする.しかし,果物でもよく熟して酸味がなく線維に乏しいバナナやりんごはよく,とくにりんごをすりおろして与えると下痢が止まることが多い.脂肪の多い牛肉や豚肉,うなぎ,天ぷら,中華料理などは避けるようにする.牛乳は与えてもよいが,牛乳不耐症のあるものでは下痢を助長するので注意が必要である.
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