明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY
V.治療技術
産婦人科における高カロリー輸液法
岡田 正
1
,
高木 洋治
1
,
板倉 丈夫
1
Akira Okada
1
1大阪大学医学部小児外科教室
pp.356-362
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206986
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あらゆる疾患の治療を行う上で栄養障害の存在が常に悪影響をもたらすことはよく知られている。殊に外科領域では手術治療,また内科領域では強力な薬物療法によって益々消耗が高まり栄養障害の進行を促進する。このような事実は古くより経験的には知られながらも最近に至るまで意外に認識されず,現実には院内に数多く存する栄養障害は放置され,かなりの重症になってから治療が検討されるという現状であった。最近入院患者の実に数多くがさまざまの栄養障害に陥っており,その早期発見及び各種栄養法を用いた積極的治療の重要性が注目を浴びている1)。そしてその原動力となったのが高カロリー輸液法である。1960年代後半に試みられ2),1970年代に入って急速な進歩を示しわが国医療界に幅広く定着するに至った高カロリー輸液はそれまで各領域においてみられた栄養障害による悪影響を大きく解き放った。のみならず,高カロリー輸液の確立は種々の栄養法の最終手段として認識され,逆にさまざまな経腸栄養法の意義を再認させ,これがまた栄養状態の判定法--栄養アセスメント--の進歩に繋がることとなった3)。
栄養障害--殊に蛋白栄養障害(Protein-energy mal—nutrition)--のもたらしている悪影響についてのHey—msfieldによる模式図を図1に示す。
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