臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
IV.消化管疾患
4.食事療法のコツと注意
十二指腸潰瘍—老人
紀 健二
1
,
深沢 俊男
1
1東京都養育院付属病院消化器内科
pp.1910-1911
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208197
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はじめに
老人の十二指腸潰瘍は,従来より若年者に比べ頻度の少ないものとされていたが,最近高齢化しつつある人口とともに,老人福祉がゆきわたり,老人の病院受診率が高まり,また老人に対して内視鏡検査も安全に行えるようになったため,われわれの日常診療で老人の消化性潰瘍を診る機会は増加している.老人の消化性潰瘍の主体をなすものは胃潰瘍であるが,ときどき十二指腸潰蕩にも遭遇するので,注意が必要である.このように十二指腸潰瘍を診る機会が増加した理由として,核家族化しつつある社会の中で老人の生活環境が昔と変わり,常に社会的ストレスにさらされる機会が増えたこともその一因としてあげられると思われる.
老人における十二指腸潰瘍の病態は臨床症状のあらわれ方,頻度など若年者と若干趣を異にし,診断や食事療法,薬物療法の治療においても老年者として特別な配慮が必要であると思われる.以下,筆者らが都立養育院付属病院で経験した老人の十二指腸潰瘍の病態と治療,とくに食事療法を行う際の注意点を中心に述べてみたい.
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