今月の主題 肝疾患のトピックス
検査法の進歩
新しい肝機能検査としての—血清中総胆汁酸測定
遠藤 了一
1
,
上野 幸久
2
1三宿病院研究検査科
2三宿病院
pp.1270-1271
発行日 1978年9月10日
Published Date 1978/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208016
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はじめに
コレステロールからの胆汁酸の生成,グリシンおよびタウリンとの抱合,胆汁中への分泌ならびに,腸肝循環によって肝にもたらされた胆汁酸のとりこみ,胆汁中への再分泌といった胆汁酸代謝は肝細胞に与えられた特異的な機能である.したがって,肝・胆道疾患においてはこのような胆汁酸代謝が障害され,血中胆汁酸レベルは肝機能の低下に応じて多少なりとも上昇する.このため血中胆汁酸濃度の測定は,特異性の高い鋭敏な肝機能検査となるはずである.しかしながら,従来,血中胆汁酸の測定はガスクロなどの器械ならびに時間と熟練とを必要とし,日常の臨床には応用できなかった.ところが近年,精度が高く迅速に胆汁酸を測定することができる酵素螢光法が開発され,わが国でも最近真重,大菅らにより導入され,血中胆汁酸の測定が急速に普及してきた.本稿では,筆者らの成績をもとにして,新しい肝機能検査としての血中胆汁酸測定の有用性について解説したい.
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