技術講座 生化学
胆汁酸の測定法
眞重 文子
1
1東京大学病院中央検査部
pp.1075-1080
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203209
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胆汁酸は肝細胞においてコレステロールから生成され,主にグリシンとタウリン,その一部は硫酸,グルクロン酸と抱合された後胆汁中に排泄される.排泄された胆汁酸のほとんどは回腸末端から吸収され,門脈を経て肝に戻り,腸肝循環を行っている.この腸肝循環は極めて閉鎖的なので,正常人においては胆汁酸はほとんど大循環に漏れず,血液中には微量にしか存在しない.
人体試料中の胆汁酸は胆汁では極めて高濃度(約5g/dl)であり,糞便中にもかなり排泄されている(約500mg/日)が,血液中では1μg/ml程度で,尿中にもわずかしか排泄されていない(0.4mg以下/日).しかし肝疾患時には,肝細胞による摂取を逃れて大循環の中に胆汁酸が逸脱して増加し,その増加度は肝傷害を鋭敏に反映するので,血中胆汁酸測定は有用な肝機能検査法として取り入れられるようになった1,2).
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