新しいキットの紹介
酵素法による胆汁中胆汁酸および血中胆汁酸測定に関する検討
橋本 博介
1
,
板垣 佑司
1
,
牧野 勲
1
,
中川 昌一
1
1北大第2内科
pp.70-74
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909248
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はじめに
胆汁酸はコレステロールから肝細胞においてのみ生成される異化代謝産物で,グリシンまたはタウリンとの抱合酸として胆汁中に排泄される.腸管に排泄された胆汁酸は腸壁から吸収され,肝にもどる腸肝循環を行い,それによるNegative feedback機構によって肝での生成がコントロールされている.したがって胆汁酸代謝は肝を中心として営まれ,肝機能と密接に関係しており,肝胆道疾患時血中胆汁酸が異常増加し,増加した胆汁酸は尿中へと排泄されることは古くから知られていた1〜5).それゆえ,生体試料の胆汁酸を測定し,肝機能検査として臨床に役立てようとする試みは以前から行われていたが,各種クロマトグラフィーなどによる従来の測定法はかなり操作が繁雑で,一般の肝機能検査として利用するには不適当であった6).ところが1964年,岩田,山崎7)らによってPseudomonas testosteroniより抽出された酵素β—steroid dehydrogenaseを胆汁酸の測定法に用いる方法が報告された.この方法は,本酵素がNADを補酵素として胆汁酸C−3α位水酸基をケト化する脱水素反応を行うのに伴って生成されるNADHを340nmの波長で分光学的に測定するものである.
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