今月の主題 肝疾患のトピックス
病態生理
肝疾患と免疫異常
山内 真義
1
,
藤沢 洌
1
1慈恵医大第1内科
pp.1266-1268
発行日 1978年9月10日
Published Date 1978/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208015
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年,B型肝炎関連抗原の本態が次々と解明されるに及んで,B型肝炎ウイルス(HBV)の感染の指標,さらには慢性化の指標としてのHBs抗原の意義が確立された.しかし,HBs抗原のasymptomatic carrierでは,血中に高力価のHBs抗原が持続的に証明され,しかも肝細胞内にHBs抗原が多数認められても,肝細胞障害は起こらずウィルスも排除されないことが明らかになって,HBV自体が感染肝細胞を直接破壊する可能性は否定され,またこのようなasymptornatic carrierの成立は,免疫応答に乏しい出生時前後から乳児期におけるHBVの初感染にあることなどが明らかにされて,B型肝炎の発症病理上,HBVの侵入(感染)と肝細胞の破壊(発病)の間にはHBs抗原に対する体液性免疫あるいは細胞性免疫が介在するという考えが有力となった.
本稿ではB型肝炎の発症と慢性化をめぐる免疫学的な問題点を中心として述べ,さらに薬剤アレルギー性肝炎およびアルコール性肝障害についても若干ふれてみたい.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.