Japanese
English
研究
新しい肝機能検査としての血清中総胆汁酸測定—第2報内因性胆汁酸負荷試験
Quantitative Estimation of Serum Total Bile Acid as a New Liver Function Test.: 2nd report : Endogenous bile acid tolerance test.
遠藤 了一
1
,
鹿野 敏夫
1
,
清水 暉雄
1
,
石塚 昭信
1
,
山根 示子
1
,
土屋 敏子
1
,
太田 裕彦
2
,
佐藤 源一郎
2
,
上野 幸久
2
Ryoichi ENDO
1
,
Toshio KANO
1
,
Akio SHIMIZU
1
,
Akinobu ISHIZUKA
1
,
Tsuguko YAMANE
1
,
Toshiko TSUTIY
1
,
Yasuhiko OUTA
2
,
Genichiro SATO
2
,
Yukihisa UENO
2
1三宿病院研究検査課
2三宿病院内科
1Division Clinical Laboratory, Mishuku Hospital
2Dept. of Internal Medicine, Mishuku Hospital
pp.273-277
発行日 1979年3月15日
Published Date 1979/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915048
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まえおき
胆汁酸の生成と胆汁中への分泌,ならびに腸肝循環により再び肝にもどった胆汁酸の処理は肝細胞のみが営む特異的な機能である1).したがって,肝疾患において胆汁酸の取り込みと生成あるいは分泌が障害され,胆道疾患では胆汁の腸管への排出が障害されるために血清中の胆汁酸は上昇する.我々の成績でも急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変をはじめ,各種の肝疾患において血清中胆汁酸は上昇し,その肝病態をよく反映していた.第1報に報告したごとく,肝硬変では空腹時血清中胆汁酸がその代償性期でも平均30μMと高値を示す例が多い.
しかし,完成された肝硬変であっても一般の肝機能検査(GOT,GPT,TTT,ZST,ALP,ChE,血清ビリルビン,アルブミン)が正常域を示すような機能的によく代償された非活動性の状態では,空腹時血清中総胆汁酸もしばしば正常値(10μM以下)を示す.これらの症例について空腹時に採血後,卵黄2個,あるいはダイアン顆粒13g,セルレインなどの胆嚢収縮剤を投与し,一定間隔で負荷後3時間まで繰り返し採血し,血清中胆汁酸濃度を求める内因性胆汁酸負荷試験を行うと,その多くの症例で負荷後血清中胆汁酸は著明に上昇する.かつ慢性肝炎と肝硬変ではその上昇程度に差が認められた.肝疾患におけるその病態と内因性,外因性胆汁酸負荷試験との関係については多くの報告があるが,必ずしも一定の見解は得られていない2〜7).
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