今月の主題 実地医のための臨床細菌学
細菌学的アプローチ
膿汁
中山 一誠
1,2
1日大第3外科
2ジョージワシントン大学医学部
pp.948-950
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207937
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はじめに
膿汁とは感染病巣に遊走してきた多数の白血球の死体や,その際,白血球内のlysosomeより放出されたlysosomal enzymeにより分解された局所組織の壊死物,感染菌などを混じえた組織分解産物からなり,脂肪に富んでいる.最近の筆者らの研究では,膿汁中に免疫グロブリンも多量に含まれており,barrierの形成や感染拡大の防止に液性免疫機構が働いていると思われる.膿汁は流動性であるが,ときに線維素の浸出により流動性を失い,苔状に付着することがある.これを膿苔という.これに類するものにジフテリヤ感染のときの偽膜がある.膿苔が単に付着しているのに対し,偽膜は粘膜層に線維素と白血球が浸透し形成されるため,無理に剥離すると粘膜下組織まで損傷され,出血しやすいし,潰瘍を作ることもある.
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