今月の主題 免疫診断法と免疫療法
基礎知識
抗体産生調節とアレルギー
畔柳 武雄
1
1埼玉医第1内科
pp.778-782
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207893
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特定の抗原に対する免疫反応には大きな個体差がある.抗原の性質,接種抗原の量,接種方法,adjuvantの有無,個体の健康状態,年齢など種々の要因が関係している.最近,ある特定の抗原に対する免疫反応が,遺伝子のcontrolのもとに質的にもまた量的にも規制されていることが明らかになった.また,種々の感染症に対する抵抗性,自己免疫疾患や悪性腫瘍の発現が遺伝子のcontrol下にあることが明らかになった.
もともと免疫寛容は個体発生の初期,すなわち胎生期ないし新生期に人為的操作を加えることにより,特定の抗原に対し抗体(液性免疫および細胞免疫)を産生しなくなる状態を指したが,adultにおいても種々の操作による免疫寛容の状態をつくり出すことが可能となった.この免疫寛容の研究は,抗体産生の細胞レベルでの機序ならびに抗体産生調節機構に関する理解をより深いものにし,近代免疫学の基礎を築くに至った.
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