特集 アレルギーと自己免疫
I.免疫機能―最近の進歩
4.免疫応答とその調節
1)抗体産生とその調節
矢田 純一
1
Jun'ichi YATA
1
1東京医科歯科大学医学部小児科学教室
pp.39-40
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900792
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■B細胞から抗体産生細胞への分化
B細胞の表面には抗原レセプターとしての免疫グロブリンが存在し,抗原分子との結合によってそれらが架橋されることが刺激となってB細胞は抗体産生細胞に分化する過程に入ることになるが,その際T細胞のB細胞への補助作用を必要とする場合とそうでない場合とがある.その違いは抗原の種類によって規制され,T細胞を必要とするものをT細胞(胸腺)依存性抗原,そうでないものをT細胞非依存性抗原という.
後者は抗原分子上に同一の抗原決定基が反復して表出されているという特別の構造をした抗原分子に限られ,IgMクラスの抗体しか産生されない.サルモネラ鞭毛抗原,リポ多糖体,デキストランなどがある.2回目の抗原との反応によっても初回と同様の反応しか起きず,booster効果はみられない.T細胞を必要としない理由は不明であるが,抗原分子自身が抗原非特異的にB細胞の細胞分裂を誘導できる性質(マイトーゲンとしての性質)を持つこと,補体を活性化する能力を持っこと(B細胞は分割された補体第3成分に対するレセプターを持つ)などが関係している可能性がある.
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