特集 アレルギーと自己免疫
I.免疫機能―最近の進歩
5.自己免疫の成立
3)自己抗体産生
谷本 潔昭
1
Kiyoaki TANIMOTO
1
1埼玉大学保健センター
pp.53-55
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900797
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自己抗体は,以前考えられていたような稀な疾患にみられる特異な現象ではなく,正常人でもごく普通にみられる生理的な現象の一部と考えられるようになってきている.この考えを裏付けるものとしては,自己抗体を検出する場合に感度を上げると正常人でも陽性になることが多いこと,老化に伴い自己抗体の検出率が高くなること,赤血球やその他の血球成分の老廃物の処理に自己抗体が深く関係していることなどか考えられよう.したがって,病的ないわゆる自己免疫疾患にみられる自己抗体は,正常に働くべき免疫監視機構がなんらかの機序により破綻し,過剰に抗体が産生されるために起こってくるものと考えられている.
しかしながら,歴史的な背景を知ることも重要であり,これまでに提唱されてきた主要な学説を紹介する.一部は現在でも十分に通用するものである.その後に自己抗体産生の問題点について述べてみたい.
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