今月の主題 急性期脳卒中の臨床
診断の手がかり
黄疸を主訴として―膵頭部癌
税所 宏光
1
,
大藤 正雄
1
1千葉大第1内科
pp.216-218
発行日 1978年2月10日
Published Date 1978/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207743
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症例 57歳,男性
生来健康で既往歴に特記すべきことはない.当科入院の6週間前より心窩部鈍痛と腹部膨満感が出現し,食欲が減退した,近医で上部消化管X線検査および血液の検査が行われ,軽い肝機能障害を指摘された.約2週間で前記の自覚症は軽快してきたが,その頃から夜間の全身掻痒感が現れた.3週間前に眼球結膜の黄染に気づいたので某診療所を受診,肝炎の疑い診断で直ちに入院した.しかし,黄疸が漸次増強し,発症前と比べて8kgの体重減少があるなど,臨床症状に改善がみられないので当科へ紹介され入院した.
入院時現症 体格中等,栄養比較的良.体温36.4℃,血圧136/82.眼球結膜,皮膚は高度黄染,眼瞼結膜はやや貧血性,頸部リンパ節触知せず,心・肺に理学的異常を認めず,肺肝境界は第6肋間であった.腹部には右季駒下乳線上に辺縁鈍な肝を2横指触知,さらに肝縁に接して球状に緊張した胆のうが触知された.脾およびその他の腫瘤は触知されず.腹壁静脈の怒張はない.
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