今月の主題 知っておきたい骨・関節疾患の診かた
頸・肩を中心に
後縦靱帯骨化症
山浦 伊裟吉
1
1東医歯大整形外科
pp.2286-2287
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207661
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はじめに
後縦靱帯骨化症は1960年,月本の報告以来,その特異な病態と重篤な脊髄障害をきたすがゆえに,主にわが国の整形外科分野において注目され,探求されつつある新たな疾患である.本症は近年になって増加しているような印象を与えるが,これは本症の認識が広まったため発見率が高まったものと考えられる.古いX線フィルム調査でも本症の存在が確認されている.したがって,本症が認識される以前の古い症例の中に,筋萎縮性側索硬化症,脊髄性進行性筋萎縮症,脊髄腫瘍,変形性脊椎症,強直性脊椎炎などの診断名が付されていたものがある.厚生省後縦靱帯骨化症調査研究班の全国調査によると,現在2000余の症例が登録されている.外国では未だ数編の報告をみるに過ぎないので,発現頻度に民族間の差があるかどうか不明であるが,最近山内らのX線フィルム調査によると,白人の本症有病率は低いようである.
性別ではほぼ2:1で男子に多く,40歳代から70歳代に多く認められる,個人の居住地,職種などの違いによる発現率との相関は認められない.
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