臨時増刊特集 診断基準とその使い方
IX.血液・造血器疾患
非定型的急性白血病
喜多嶋 康一
1
1岡山大第2内科
pp.2118-2121
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207613
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概念
今日,急性白血病の本態は白血球系造血組織の悪性腫瘍,すなわち自律性をもった無制限増殖にあると考えられている.したがって,その定型的病像として想定されるのは骨髄またはリンパ組織における白血球系造血巣の過形成像と,それに伴う赤血球系ならびに栓球系造血巣の圧排減縮であり,末梢血では,これを反映した幼若型を含む白血球数の増加,貧血,血小板数の減少などが認められ,臨床的には高熱,貧血に伴う諸症状,著明な出血傾向,肝・脾・リンパ節腫大などが急激に発現して,適切な治療を施さない限り速やかに死の転帰をとるとされている.
しかるに近年,高齢者白血病の増加に伴い,かかる定型的な病像の多くを,またはほとんどすべてを欠くところの白血病らしからぬ白血病,すなわち非定型的急性白血病に遭遇する機会が多くなってきた.これは近年における白血病像の変貌の一つとして注目されている.しかし,いざどこまでを"定型的"となし,どこからを"非定型的"とよぶかについては現在一致した一定の見解が存在しているわけではない.
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