診断基準とその使い方
非定型性急性白血病
喜多嶋 康一
1
1岡山大第2内科
pp.1546-1549
発行日 1975年9月10日
Published Date 1975/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206226
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今日,急性白血病の本態は白血球系造血組織の悪性腫瘍,すなわち自律性をもった無制限増殖にあると考えられている.したがって,その定型的病像としては骨髄またはリンパ組織における白血球系造血巣の過形成像と,それに伴う赤血球系ならびに栓球系造血巣の圧排減縮,末梢血ではこれを反映した幼若型を含む白血球数の増加,貧血,血小板数の減少,臨床的には高熱,貧血に伴う諸症状,著明な出血傾向,肝,脾,リンパ節腫大などが急激に発現し,適切な治療を施さない限りすみやかに死の転帰をとるとされている.
しかるに,近年,かかる定型的な病像の多くを,またはほとんど全てを欠くところの白血病らしからぬ白血病,すなわち非定型性急性白血病に遭遇する機会が多くなってきた.これは近年における白血病病像の変貌の1つとして注目されている.しかし,いざどこまでを"定型的"となし,どこからを"非定型的"とよぶかについては現在一致した一定の見解が存在しているわけではない.
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