講座 図解病態のしくみ 腎臓病・6
糸球体腎炎
野坂 和男
1
,
西 忠博
1
,
黒川 清
2
1東京大学医学部・第1内科
2東京大学医学部・第4内科
pp.1119-1129
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219811
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日常臨床で,血尿,蛋白尿,さらにネフローゼ症候群などを呈する患者に接する機会は多いが,このような患者を正しく管理する上で,腎生検材料による糸球体病変の組織学的診断は重要な指標となる.その理由として,これまでに集積された腎病変の組織像と臨床経過との対比から,各種糸球体腎炎に,ステロイド剤などの治療効果や予後に差があることが明らかになってきたことがあげられる.
糸球体腎炎の病理組織学的分類は,現在では,光顕像(light microscopy:LM)に加えて,腎炎発症に密接な関係があるとされている免疫グロブリン,補体,フィブリノーゲンなどの沈着を糸球体に証明するための螢光抗体法(immunofluorescence:IF),さらに糸球体病変の超微形態変化を観察するための電子顕微鏡像(electron microscopy:EM)の3者に基づいている.本稿では,先ず正常糸球体の構造と病変の表現に用いられる用語について簡単に説明し,1982年WHO1)より提唱された分類(表)を基に,各原発性糸球体疾患のLM,IF,EM像を紹介し,臨床像と対比させてその特徴について述べる.
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